
はじめまして!
「みちのくあかね会」と申します
私たち「みちのくあかね会」は、昭和37年より 岩手県盛岡市で「ホームスパン」という技法で羊毛を手作業で加工し、マフラーなどを製作販売しています。
2年前クラウドファンディングに助けられ、レトロな木造社屋から酒造メーカーの隣接スペースに移転し、設立より66年の現在、約十数名のメンバーが 毛を染める・糸を紡(つむ)ぐ・機(はた)で織る、の分業スタイルの製作現場と、運営業務を担当する事務所とで仕事をしています。
「ホームスパン」とは
英国由来の技法で、羊毛を手紡ぎ手織りしたざっくりした風合いの毛織物のことを指します。日本では大正・昭和時代に農家の副業として奨励され普及し、全国生産額の8割を占める岩手では地場産品として今も定着しています。

今回ご紹介したいもの
「盛岡のオール手仕事によるホームスパンのマフラー」とは?
今回、皆さまにおすすめしたいものをご紹介します。それは、盛岡のオール手仕事によるホームスパンのマフラーです。
このマフラー、ただものではありません。そのただものではないトコロを【その色】【その感触】【その使用感】の3つの観点に分けてご説明し、それに加えてホームスパンが作られる過程【 ①染める ②カーディング ③紡ぐ ④整経(せいけい) ⑤織る ⑥仕上げ 】を順に追って解説していきます。
ホームスパン【その色】

この糸の色は白い羊毛を染め、色味とその分量を調整して作り出した色です。よ~く見ると白に濃いピンク、薄いピンク、淡い黄色が混ざったピンク色だということが分ると思います。これから登場する水色も、ナチュラルなチャコールカラーも、同じようにすべて絶妙なバランスでミックスして、このマフラーのために作られた色たちなのです。

白いままの羊毛とどれくらいの割合でミックスするのか?どれくらいの混ぜ具合にするのか?そこが思案の為所です。
そうして今回ご用意したカラーはそれぞれの個性を持った6色。自然由来の名前の色たち。岩手の春、岩手の雪、岩手の海、山や川、そんな風景や空気を感じていただけるでしょうか。
たて糸
sugarpink
「クールな透明感のあるピンク」粉砂糖のような雪舞う冬
waterblue
「アースカラーをMIXした静かなブルー」山のミネラル運ぶ雪解けの川
frostbeige
「すっきりしたトーンのベージュ」息が白くなり草木に霜下りる頃
よこ糸
springpink
「ほっこりとした温もりピンク」春の木にまず咲くのは黄色の花
bluecrystal
「キラリとコバルトカラーの輝くペールブルー」日差しに煌めく水の飛沫
naturalcharcoal
「ナチュラル感のあるグレーよりのブラウン」土、砂、木、炭、命の還るところ
この6色をセットして8タイプのマフラーにしました。各タイプについてはリターンで詳しく紹介していきます!
【工程① 染める】羊毛を用途に合わせて選び、染料で染色する
染液に羊毛を入れ徐々に温度を上げ、フェルト化に気を付けながら染める。

染めた羊毛を乾かし、草などのゴミを取りつつ解毛する。
【工程② カーディング】毛の流れを整え、同時に色を混ぜる

針布(しんぷ)の巻かれたローラーの回るカーディングマシーンに羊毛がゆっくりと入っていく。[springpink]

綿密に考えて決めたはずの染料の色味と濃度、そして染毛の混色の割合。その結果はいかに。[sugarpink]
薄い羊毛の層が重なり徐々に厚くなっていく。繊維の方向が整ったことが色の流れからも分かる。
[bluecrystal]
そしてその色たちを糸にし、たて糸とよこ糸に配して織り合わせてゆくことで、また新しい色が生まれます。ピンクとピンク、水色と水色の同系どうしの組み合わせ、ベージュやチャコールなどのベーシックカラーとキレイ色の組み合わせなど、あなたの推しカラーはどの組み合わせですか?

空気を含んだ透明な色。綿状になった羊毛の、他にはないこの美しさ。[sugarpink]

この色の層が、糸になるときどんな表情をみせるのだろう。[waterblue]
ホームスパン【その感触】
このマフラー、本当にふんわりとしていて軽い!首に巻く時きっと、その暖かさと軽さを実感できると思います。寒いとき、首をついついすくめたり、大きく重いマフラー巻いたりで肩は凝りがちに。このマフラーなら今年からそんな冬ともおさらばです。

どうしてそんなに軽くて暖かいの?それは糸にたっぷり空気が含まれているからなのです。あえて時間のかかる手紡ぎで糸を作るのは、ふんわりと空気を抱き込んだ「撚り(より)」の甘い、柔らかい糸にするためなのです。もちろん製品としての規格を整えるためなるべく凸凹のない糸を目指して紡ぎますが、そこに手紡ぎならではの揺らぎが残るので、一般的な機械紡績の糸と比べてとても印象的な糸となります。糸紡ぎはホームスパンの要なのです。
【工程③ 紡ぐ 番手と撚りを指定に合わせて紡毛機(ぼうもうき)で回転をかけ糸にする。
回転する動力は電気ですが、手と目と感覚を駆使し、番手(糸の太さの単位)と撚り加減は“人力”で整える。[sugarpink]
【工程④ 整経(せいけい) たて糸をデザインに合わせて用意し、機織り機にセットする】
紡がれた糸はお湯に浸けて撚り止めをする。そして整経機を使い、織るものに必要な本数と長さを用意する。
あかね会では二人で作業する綜絖(そうこう)通し。手早く、正確に。[waterblue]
その後、筬通しをして織り付け、試し織りと進めて行く。
【工程⑤ 織る 打込み(よこ糸)の間隔などに気を配り、テンポ良く織る。】
そして、そのふんわり紡いだ糸を使ってさらに空気をサンドするように、一段一段、一枚一枚、丁寧に機織り機で織っていきます。踏み足を規則正しく織り柄が整うように、均一な厚さになるよう同じ空き具合に打ち込む、みみ(布端)が緩まず詰まらずまっすぐになるように等々、同時に様々なことに気を付けつつ無駄のない動作でリズミカルに、静かに熱く織り進みます。
ホームスパン【その使用感】
織られたマフラーは、検反(けんたん)という確認作業の後、仕上げの工程の縮絨(しゅくじゅう)へと進みます。適温のお湯と洗剤の中で圧をかけつつ洗うことにより軽くフェルト化し、糸と糸がしっかり絡み布に一体感が生まれます。ここでフンワリ感が決まるたいへん重要な工程なのです。
【工程⑥ 仕上げ 織り違いなどをチェックし、補修後、お湯で軽く洗って整える。】

木の桶とゴム長靴による、あかね会スタイルの縮絨。[waterblue×bluecrystal] [frostbeige×naturalchacoal]

すすぎの作業。温度、圧力、時間、いろいろと気を付けることの多い、気の抜けない作業。

糸から布へ。繊維が絡みしっとりと水を含んだ色。[frosbeige×springpink]
最後にタグを付け、アイロンをかけ、完成です!染毛、カード毛、糸、織られた機の上の状態、縮絨中の温水の中と、宝石のようにキラキラとに表情を変化させてきた色たちの、ドラマチックな終着点となります。
NEWサイズ「ショートマフラーちょこっとロング」
今回のこのマフラー、サイズが絶妙なのです。みちのくあかね会初期からの定番、ミニマム且つ暖かい「ネックウェア」はコンパクトさが人気なのですが、ちょっぴり短さが気になるとのお声も度々頂戴しておりました。そこで、幅はそのまま、長さを約30㎝アップしたニューサイズを登場させました。名付けて「ショートマフラーちょこっとロング」これならワンアクションでお出かけできますし、巻き方アレンジも楽しめます。
「育つ布」経年変化について
ホームスパンのマフラーはお手元に届いた日がゴールではありません。お気に入りの色と風合いを愛でつつ、ウール由来の温もりと程度に湿度を逃す快適さを味わいながらお使いいただき、季節が変わりそのシーズンを終えます。防虫にも気を配り適度にお手入れしつつ何シーズンかお使いいただくうち、少しづつ生地の見た目や感触が変化していたことにきっと気が付くことでしょう。
左手の赤ができたてのものに対して20年以上使用してきた右手の柄物マフラーは、糸と糸の間がゆるやかに詰まり厚みが増している。これは生活の中で繰り返される軽い摩擦と体の熱が作用し、フェルト化が少しづつ進んでいるということなのです。あなたの暮らしに寄り添い、馴染んで育ってゆく布。経年変化もホームスパンマフラーの大切な味わいのひとつということがお分かりいただけると思います。
手仕事マフラーをこの秋から!
確実にお届けするために
私たちは時間のかかるものを限られた人数で製作しているため、年間の作成数に限界があります。その中でできるだけたくさんのデザインと色数をご用意したいがため、各色の点数はそれほど多くはできません。十分に余裕をもって素材を用意しておけば避けられる事態ですが、どうしても人気のお色はシーズン初めに売り切れてしまうこともよくあります。
今回ご予約いただくことで、ご注文のあったカラーを間違いなくご用意できることはたいへん有難いことです。お客様は確実に欲しいカラーを手に入れることができ、私たちは落ち着いて製作でき余分な在庫が発生しない。なんとよいことばかりではありませんか。
「秋に出会った今年のマフラーを買う」それはそれでごくあたりまえのスタイルですが、今年はこのマフラーを早期予約して届くのを待つ。そんな秋も楽しみではありませんか?お好きなカラーの完全手仕事のふんわりマフラーが、盛岡より届きます。
リターンについて
今回は・ショートマフラーちょこっとロング、・手づくり村でのマフラー織体験、・みちのくあかね会への応援 < ホームスパンマット >の3タイプでご用意しました。
ショートマフラーちょこっとロング
たて糸3色とよこ糸3色から組み合わせた8タイプのカラーのマフラーをご用意しました。糸のふくらみをより感じられるポコポコとした織地は、小さなチェック柄のようにも見えます。それぞれの糸の色と色名とのハーモニーも楽しんでいただけたらと思います。(色について、ご覧になるモニター等の環境により、実物と見え方に差が生じることもあります。どうかご了承願います。)こちらのマフラーを秋10月の末までにお届けします。
1. Sugarpink × Springpink

タイプの違うピンクが織りなすハッピーワールド
よこ糸:springpink ほっこりとした温もりピンク
たて糸:sugarpink クールな透明感のあるピンク
2. WaterBlue × Crystalblue
似ているのにトーンの違う2色が動く、水色の世界。
たて糸:waterblue アースカラーをMIXした静かなブルー
よこ糸:bluecrystal キラリとコバルトカラーの輝くペールブルー
3. Sugarpink × Crystalblue
ありそうでなかった!ピンクとブルーの澄みきったセッション
たて糸:sugarpink クールな透明感のあるピンク
よこ糸:bluecrystal キラリとコバルトカラーの輝くペールブル
4. Frostbeige × Naturalcharcoal
The ベーシックシンプル。いつでも自然を身に着けて。
たて糸:frostbeige すっきりしたトーンのベージュ
よこ糸:naturalcharcoal ナチュラル感のあるグレーよりのブラウン
5. Frostbeige × Springpink
ピュアでちょい甘、ミルクがかった春色ピンク。
たて糸:frostbeige すっきりしたトーンのベージュ
よこ糸:springpink ほっこりとした温もりピンク
6. Sugarpink × Naturalcharcoal
ピンクを秘めたイチゴチョコ色。ほろ苦くて甘酸っぱい。
たて糸:sugarpink クールな透明感のあるピンク
よこ糸:naturalcharcoal ナチュラル感のあるグレーよりのブラウン
7. Frostbeige × Crystalblue
プレーンで清らかなペールブルー。
たて糸:frostbeige すっきりしたトーンのベージュ
よこ糸:bluecrystal キラリとコバルトカラーの輝くペールブルー
8. Waterblue × Naturalcharcoal
ブルーとブラウンのアーシーな出会い。
たて糸:waterblue アースカラーをMIXした静かなブルー
よこ糸:naturalcharcoal ナチュラル感のあるグレーよりのブラウン
盛岡手づくり村でのマフラー織体験
盛岡手づくり村 「はたおり教室」でのホームスパンマフラー織体験クーポンを9月末にお届けします。

3種類のカラーよりよこ糸を選び、みちのくあかね会スタッフの指導のもと、1日かけてじっくりとマイホームスパンマフラーを織りましょう。出来上がりサイズは「ショートマフラーちょこっとロング」と同じ、幅 約16㎝ × 長 約155㎝です。体験はたて糸とよこ糸が1本ずつ交互になる最もシンプルな織り方で行いますので、織地は以下の色見本とは異なります。色味の参考にご覧ください。催行期間の2024.11月~2025.3月末の間にご予約のうえ、現地までお越しいただきます。
1.たて糸:frostbeige よこ糸:springpink
(色の参考にご覧ください。実際の織地は少々異なりますことご了承願います。)
2.たて糸:frostbeige よこ糸:bluecrystal
(色の参考にご覧ください。実際の織地は少々異なりますことご了承願います。)
3.たて糸:frostbeige よこ糸:naturalcharcoal
(色の参考にご覧ください。実際の織地は少々異なりますことご了承願います
みちのくあかね会への応援 < ホームスパンマット >
ウール100%、手紡ぎ手織り、ホームスパンのヘリンボーン柄マット1枚を、お気持ちへのお礼としてお送りします。サイズは24㎝×18㎝で適度な厚みがあり、大切なもの飾り物の下にひいたり、コーヒータイムのおともにいかがでしょうか。カラーはアソートでご用意しますので、届いてからのお楽しみとなりますこと、ご了承願います。
これからも手仕事の場として存続して行かれるよう、受け継いだホームスパンの技術を次の世代へ渡していけるよう、誠心誠意、私たちは邁進して参ります。どうぞお力をお貸しいただけますようお願い申し上げます。
結びに
ホームスパンを製作する日常の中で「美しい」と感じる瞬間を、できるだけお伝えできるよう心を尽くして作成しました。まだまだ表現しきれなかったシーンは、また次の機会がありましたらぜひ見ていただきたいと思っております。今後とも、みちのくあかね会とホームスパンをどうぞよろしくお願いいたします。